他力(たりき)念仏詩抄(ししょう)
    大木惇夫 作詞

1.現(うつ)し世(よ)の この現(うつ)し身(み)は
いと小さく いともろきもの、
荒磯の浪に揉(も)まるる
砂つぶの一(ひと)つに如(し)かじ。
さればこそ かの無量寿(むりょうじゅ)を
慕ひつつ生きて往(ゆ)くなれ。
一(ひと)すぢにみ教(おしえ)に拠り
み仏のみ名をとなへん。

2.現し世の この現し身は
弱きもの 力なきもの、
落つる日を 茜(あかね)の雲を
留(と)むるにも 留むるよしなし。
さればこそ 無量の光
夢みつつ 生きて往くなれ。
-すぢにみ教に聴(き)き
み仏のみ名をとなへん。

3.醜(みにく)しや この現し身は
愚かにて 罪ふかきもの、
げに末世(まっせ) 乱世の今し
何をもて 抗(あらが)ひ得んや。
スモッグに息(いき)塞(ふさ)ぐとも
死の灰に焼け果つるとも。
摂(う)けまして済(すく)ひ取ります
大慈悲にすがりまつらん

この曲は昭和41年に男声合唱曲として作られ
た。
●他力……仏のめぐみの働きをいう。(如来
の本願力)
●現し世……この世(迷いの世界)
●現し身……この私(迷いの身)
●無量寿……無限の命(阿弥陀仏の慈悲)
●無量光……無限の光(阿弥陀仏の智慧)
●抗ひ……争うの意