メロス楽譜 M1007 第2刷
三崎のうた・第二
作曲者のことば
多田 武彦
1993年、西南シャントゥールから初めて新曲の委嘱があり、「できれば北原白
秋の詩による合唱組曲を」との希望があった。私は既に詩人北原白秋先生の詩に
よる男声合唱組曲を七つ書いていたが、もう一度白秋詩集を開いてみた。私が見
落としていたすばらしい詩群があり、男声合唱組曲『柳河風俗詩・第二』ができ
た。
1996年、再び新曲の委嘱があった。今度は「男声合唱組曲『富士山』のような
歌いやすく、男性的で、めりはりのきいた作品を」という注文である。
 しかし『富士山パートⅡ』については、現状、構想はまとまっていない。そこ
で今回も白秋詩集を開いた。またまた今回の希望に合った詩群があった。こうし
て男声合唱組曲 『三崎のうた・第二』が生まれた。
1969年に作曲した男声合唱組曲『三崎のうた』よりも少し歌いやすく、しかし
少しばかり壮年の生活心情にも思いを馳せて書いてあるので、OB男声合唱団な
どの多人数での合同演奏曲目などに最適ではないか、と思っている。
 終わりに、この組曲の出版にご尽力くださったメロス楽譜西野一雄氏に、厚く
御礼を申し上げる。
1997年11月