メロス楽譜 M1019 第2刷
雪明りの路・第二
作曲者のことば
多田 武彦
 2001年、北海道男声合唱祭実行委員会から次のような依頼があった。
 「本年から北海道においても、毎年男声合唱フェスティバルを実施する計画をたて
た。ついては合同演奏曲として毎年一曲、男声合唱曲を作曲してほしい。そしてでき
れば北海道の詩聖・伊藤整先生の詩に作曲してほしい」とのことであった。
 最初の年に出来たのが「雪あかりの人」、つぎの年には「野の風」、そして昨年は
「故郷に目ざめる」と「果樹園の夜」を作曲した。
 最初の「雪あかりの人」の初演のあと、これを聴いた北海道在住の知人から「男声
合唱曲『雪明りの路・第二』を作ってみては」との助言があり、「野の風」が出来た
とき、このことを北海道男声合唱祭実行委員会に提案したところ「是非‥‥‥」とのご
回答をいただいた。
 結局、前記4曲のほかに「山に来た雪」を加え、男声合唱組曲『雪明りの路・第
二』を完成し、本年6月、北海道男声合唱祭において全曲が演奏された。
 この組曲の第3曲目に配した「山に来た雪」について一言申し添えておきたい。こ
の曲は1967年に上智大学グリークラブからの委嘱により作曲した男声合唱組曲『山の
印象』の中の一曲で、この組曲は北村協一先生の指揮、上智大学グリークラブの演奏
により初演されたが、その後どういうわけか演奏される機会が少なかった。一方では
多くの男声合唱団から出版のお尋ねもいただき、一度見直してみようと思っていたが
纏まらなかった。
 今回「山に来た雪」を配置することによって『雪明りの路・第二』の構築性が良く
なると考え、北村先生と上智大学グリークラブのOB諸氏のご了解を得てこれに組み
入れ、同時に懸案の組曲『山の印象』の改定を検討し、第3曲目に詩聖・三好達治先
生の高名な詩「遠き山見ゆ」を作曲し、男声合唱組曲『山の印象』の改訂版として過
日上智大学グリークラブに献呈した。
 終わりに、この組曲の出版にご尽力くださったメロス楽譜西野一雄氏に、厚く御礼
を申し上げる。
2004年8月