音楽之友社 第5集
第五集の出版にあたって
 昭和54年に「吹雪の街を」が,昭和53年に「若しもかの星に」が,昭和58年
に「山村暮鳥の詩から」が,それぞれ初演されて以来,これらの組曲は,多く
のかたがたによって愛唱されて来ました。多分,詩人伊藤整,百田宗治,山村
暮鳥の諸先生がたの,素朴で美しい詩の心の賜物だと思っています。一つ一つ
の詩の,肌理(きめ)の細かい表現の変化や,心の底に浸透する奥ゆかしさに,私もつ
いひきずられて,自然に作曲できた記憶があります。
 今回,前四集に引き続き,音楽之友社のご好意により,5冊目の男声合唱組
曲集として,この自然で素朴で美しい詩のかずかずを題材にした作品集を,出
版していただくことになりました。こうした機会を得ることができたことにつ
いて,全国の合唱愛好のかたがたに心から感謝するとともに,この出版にご尽
力下さいました音楽之友社のみなさまがたに,厚く御礼申しあげます。
昭和63年11月1日
多田武彦